今更な感じもしますが、大事な事なので書いておきます。
肺は「肺胞」と呼ばれる直径0.2mmほどの小さな袋が、肺胞道の周囲にブドウの房のようにたくさん集まってできています。肺胞が伸縮して酸素と
二酸化炭素の交換(ガス交換)を行い、呼吸をしています。この肺胞の中で細菌などの感染によって炎症が起きるのが、一般的にいわれる肺炎です。一方、「
間質性肺炎」は、何らかの原因で肺胞の壁(肺胞中隔)や周辺(間質)に炎症や傷害が起こった状態のことです。この炎症により肺胞の壁が厚くなり、肺全体が硬くなります。その結果、肺の膨らみが悪くなり、ガス交換がしにくくなる、つまり呼吸ができなくなっていきます。
症状?
主な自覚症状は、体を動かした時の息切れと空咳(痰を伴わない咳)です。進行すると着替えなどの動作でも息切れが出て、日常生活が困難になることもあります。症状が進むスピードは
間質性肺炎の種類によりますが、息切れなどの症状が出始めて、日常生活に支障を来すようになるまで数年程度かかります。
検査と診断は?
問診(薬剤や粉塵歴、環境要因、症状や経過)身体所見(聴診所見)血液検査(原因に関する検査や肺炎の活動性をみるマーカー)肺機能検査(肺活量の減少)胸部画像検査(胸部レントゲン、CT)気管支鏡検査(肺の一部をとって顕微鏡で調べる組織検査や気管支洗浄して細胞を調べる検査)以上の検査でも確定診断を得ることが難しく、外科的に肺組織を摘出して組織診断をすることで診断が得られやすくなります。
原因による分類
原因が明らかな場合
塵肺(粉塵)過敏性肺炎(ほこりやカビ、ペットの毛、羽毛などを慢性的に吸入)薬剤性肺炎(病院で処方される薬剤、
漢方薬、
サプリメントなど)
膠原病(関節リウマチや多発性筋炎などの自己免疫疾患)
原因が不明の場合
特発性
間質性肺炎といい、治療困難で最も多く
予後不良です。特発性
間質性肺炎は、主要な特発性
間質性肺炎(6種)、稀な特発性
間質性肺炎(2種)、さらに分類不能型特発性
間質性肺炎の3つに分類されます。このなかの、主要な特発性
間質性肺炎のほとんどは、「特発性肺線維症」「特発性器質化肺炎」「特発性非特異性
間質性肺炎」のいずれかです。特発性
間質性肺炎は難病の
特定疾患に指定されており、申請をして認定されれば医療費の補助を受けることができます。専門
医療機関でお尋ねください。
治療
原因が明らかな場合には、それを取り除くことが第一です。
ステロイドや
免疫抑制剤が中心になります。「特発性肺線維症」では抗線維化薬(ピルフェニドン)を使って進行を抑えます。※いずれの薬剤も副作用が多いため、症状の進行が緩やかな場合には、これらの薬剤を使用せず、経過をみたほうが良い場合もあります。
対症療法
咳がひどい場合は咳止めの薬を使用します。病気が進行し、息切れがひどい場合には、日常生活で酸素を吸入する
在宅酸素療法が行われ、必要であれば呼吸リハビリも行われます。更に心臓の負担が増加している場合(肺高血圧)には、その治療も行われます。若年者では肺移植を検討します。
生活上の注意
日常生活では、症状が急激に悪化する「急性憎悪」を起こさないようにすることが大切です。風邪、インフルエンザを予防する禁煙する無理をしない(過労、睡眠不足を避ける)